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Interview ラボの人々

認識・学習と制御の分野融合を目指して
未来の脅威となる技術を創出する

研究開発グループ
プリンシパルリサーチャ

2008年入社

佐藤 育郎

先端研究のさらに先をいく「出島」を大学に作る

大学で研究室を持って研究を行う、というアイデアは、岩崎さんや安倍さんと「デンソーグループのソフトウェア研究開発の先端部門としてITLABはどうあるべきか」というテーマで、社内で議論した中から生まれました。
顧客ニーズに密接に寄り添う研究は重要である一方で、これまでの技術の在り方をがらっと変えるポテンシャルを秘めた創出型研究を強化していきたい思いがありました。わたしたちはそのポテンシャルが大学にあるのを感じ、先端研究のさらに先端をやる「出島」としての機能を大学の中に創る構想を持ちました。

その当時、社内で画像認識や深層学習の分野で創出型研究のネタを一番たくさん持っていたのが私でした。2014年から東京工業大学の松岡聡先生とスーパーコンピューターによる深層学習の大規模並列化の共同研究を実施していたご縁もあり、東京工業大学での共同研究講座開設が決まりました。

大学に拠点を置くことで“面”の研究が可能になる

共同研究講座では人間の視覚的認識を代替できる認識技術の開発を目的として研究を行ってきました。運転支援や自動運転はもとより、工場における製品検査や作業支援など、ロボットによる自動化が期待される分野でも、機械による外界認識はこれから必須の要件になってきます。高精度な認識技術の開発はさまざまな機械の知能化にとって極めて重要な課題と言えます。

大学で扱うテーマは、基礎から応用までと幅広いのが特徴です。特徴抽出に関する理論や脳型記憶モデルなどの基礎寄りのものから、一人称認識やマルチモーダル認識、形状認識など応用寄りのものもあります。

現在、わたしの研究室には11名の大学院生が所属しており、共同研究している他の研究室の学生やインターンも合わせると20名程度のチームになります。加えて、共同研究教員として10名ほどの東京科学大学の先生にも参加いただいています。

多くの先生や学生と一緒に研究することの利点の1つが、面で研究できることです。私が会社でコツコツ研究していても手がけられるのは年間1-2テーマだと思いますが、今は常時20テーマ弱を同時に研究しています。AIは研究が広がり細分化してさまざまな研究課題がある中で、一点突破を目指すのではなく面で研究できることは創出型研究に欠かせない条件であり、企業が大学に研究拠点を持つことの大きなメリットです。ITLABの研究者であれば誰でもこの共同研究講座を活用して研究を進めることが可能で、これまで7名が、学生と一緒にワーキンググループを組成し、ディスカッションしながら研究成果を上げてきました。

認識・学習と制御の融合へ

共同研究講座のテーマは直近の産業利用を想定したものではないので必ずしも直ちに製品化に直結するものではありません。それでも、創出型研究を組織の目標として持つことに意味があると思っています。私が感じていることですが、デンソーには経営層を含めて極めて技術への嗅覚が高い人がおり、常に技術界における脅威の出現を気にしています。現在の技術方針とは違うブレークスルーがどこかで現れてそれが当たり前になる未来があれば、その兆しをいち早く掴みたい。その嗅覚に情報を送ることも、われわれの大きな役割のひとつです。

デンソーに対しては業界として進むべき方向性と、そのために避けて通れない課題というビッグピクチャーを共有しており、良いつながりができていると思います。デンソーのAI研究部署とは定期的に意見交換して、われわれが培ったノウハウや最先端の情報をディスカッションベースでスピード感を持って共有しています。

2020年4月の講座開設から5年を経て、2025年4月からは「DENSO IT LAB 認識・制御・学習アルゴリズム共同研究講座」として第2のスタートを切ります。今まで視覚認識について幅広く研究してきましたが、さらにその先、「認識した後にモノを動かす」というステップに研究対象を広げるために「制御」をテーマに加えました。若手の制御研究者である星野健太氏を新たにメンバーとして迎え、認識・学習と制御を融合した新たな研究を進めていきます。この分野で、未来の脅威となる技術の創出に取り組みたい研究者の方がいたら、ぜひ仲間に加わっていただきたいですね。

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