生成AIの浸透でLLMが一気にメジャーな分野になりましたが、ITLABでの自然言語処理・LLM研究は、既存のLLMモデルの改善と応用がメインテーマです。私が今取り組んでいる研究テーマは、デンソーのDX推進の一環として、さまざまな部署で扱う仕様書や設計書などの文書の作成効率化や品質向上へのLLMの応用です。
デンソーは部品メーカーとしてさまざまな自動車メーカーが作成した要求仕様書に基づき製品を開発・製造しますが、仕様を定義する文書の品質が悪いと開発に手戻りが生じてコストがかかったり、品質が下がったりします。さらに、メーカーや製品カテゴリーによる仕様書の書き方の違いもあります。今はそのチェックを人が行っていますが、人手を介さずにLLMが仕様書を検査し、修正提案することができれば、人間によるチェックの抜け漏れやスキルによるチェック品質のばらつきを解消することができます。
もともとは、デンソー社内に蓄積されたドキュメントを有効活用したいという相談から始まった研究です。自然言語で書かれた設計書や要求仕様書は構造化されていないので、検索や活用が難しいという課題があったので、当初は統計的な言語処理を使った検索で社内の知見を上手く引き出すような検索技術を研究していました。機械学習やLLMを使って文書から知識の構造化をはかることができれば、ゆくゆくは要件を人が箇条書きすると、要求仕様書、設計仕様書、テスト仕様書まで作成できるようなものを目指せます。ドキュメントの品質も良くなり、開発効率も上がり、最終的な品質もアップして他社に対する競争優位につながります。