JP
EN
MENU

Interview ラボの人々

機械学習とAIによるパラダイムシフトが
制御のブレイクスルーをもたらす

研究開発グループ
プリンシパルリサーチャ

2004年入社

高野 岳

研究開発グループ
アソシエイトリサーチャ

2018年入社

河内 祐太

機械が複雑になって重要性が増した分野

高野

学生時代は制御が専門だったのですが、ITLABに入社してからはミリ波レーダーやLiDARの信号処理をテーマに研究していました。10年ほど前から自動運転が盛り上がってきて制御まわりの研究課題が増えてきたので、また制御の分野に戻り、今は自動運転に限らずモーションプランニングを中心とした電動化の制御をやっています。制御するためには何かを観測しなくてはいけないので、制御+信号処理の両方を知っていることが私の強みかなと思っています。

河内

私はもともと情報理論畑で、もっぱら機械学習など計算機の中で完結する研究をしていました。ITLABに入社してからはセンシングをテーマにレーダー信号処理の研究をしていたのですが、途中からモーター関連の制御の研究を始めました。それまでの研究は取得したデータをどう処理するかがテーマだったのですが、力学的に物を動かすということに興味をもったことがきっかけでこの分野に足を踏み入れました。

高野

機械の構造がシンプルで要求があまり高くなかった時代は、制御ってあまり重要じゃなかったんです。モーターは電源を入れれば回るもの、車はアクセルを踏めば動くものでよかった。でもだんだんと機械が複雑になり、もっと使い心地を良くしたい、振動がうるさいので抑えたい、とさまざまな要求のハードルが上がってきて、「電源を入れて動く」だけではないきめ細かなコントロールを、コンピュータを使ってやりたいということで、制御が重視されるようになってきました。

河内

制御のあり方も変わってきています。10年ぐらい前までは、物理モデルに則り記述された数式に従ってものを動かす制御だったのが、最近は機械学習やAIを使うものに変わりつつあります。数式を書くのではなく、データを集めてそこから制御するという手法の適用分野としては、画像認識や言語処理に比べると最後発ですが、AIによるパラダイムシフトが起こりはじめています。

失敗と成功が明確に分かる面白さとやりがい

高野

制御のおもしろいところは、ものが動くので、成功と失敗がはっきりわかることです。たとえば自動運転のブレーキなら、最終的に狙ったところで止めるのは制御の役割。たくさんあるプロセスの最終段階で、そこでしくじると全滅ですから、責任はとても重大ですが、やりがいはあります。

河内

まったく同感で、私はずっと機械学習でシミュレーションして論文を書いていたので素朴に実機が動くということが面白いです。動くというのはすごく強力なエビデンスなので、それが目の前で見られるというのはやりがいを感じます。

高野

一方で、制御というと機械の動きをコントロールすることだと考えられがちですが、広い意味で「不確定要素のある中で目的を達成するためのプランニング」ととらえる方が良いと思っています。例えば工場の製造工程をもっと効率よくできるように設計するとか、部品の性能をもっと上げていくとか、物流を効率化するとか、そういったテーマも時間射程の長い制御だと言えます。

河内

この分野も機械学習やAIが入ってきて、計算機の性能が上がって、できることがどんどん増えていますので、モビリティの範疇にとらわれず、幅広い視点を持っている人の方がおもしろい仕事ができるかもしれません。

AIや機械学習の研究者にも制御は近しい分野になる

高野

高野:デンソーはものづくりの会社なので、制御に関する研究の出口も自動車本体だけでなく生産技術や製造工程などさまざまな出口があります。本社の各事業部との距離が良い意味で近く、協力して何かを進めやすい土壌があります。そうでありながら、研究に対しては短期的な成果を求められることなく、長期スパンで取り組めます。ちょっと珍しい環境ですが、研究者としては、長いテーマを設定し、自分でハンドリングできる資質が必要とされるのかなと思います。
私自身は、制御と機械学習が融合することで、90年代の制御論が2030年に向けてどう変わっていくかを見てみたいです。LLMや画像生成AIがどんどん進化して人間の代替ができそうなのに比べれば、ロボティクスのような、実際にモノを動かす分野はある意味最後のフロンティアともいえる領域。制御におけるLLMのようなブレークスルーが必要だし、そういう領域を自分が開拓して、本当の意味でロボティクスが人間を代替できるようなところまで持っていきたいなと思っています。

河内

AIや機械学習やコンピュータビジョンや自然言語処理が分野として相互につながり合っていて研究者の行き来がしやすいのに比べると、今までの制御は分野として少し離れたところにいて、大学のカリキュラムも分かれていました。でも実際にはどんどん近づいてきているし、そのうち教科書が出てくれれば一気に制御と機械学習の融合が進むんだろうなと思います。そうなると、データと計算機を揃える資本力があれば問題を解決できるので、制御研究もそちらにトレンドが流れていく可能性は高いと思っています。

高野

逆に言えば、今までAIや機械学習の研究をしてきた人も、制御の分野に入りやすくなっているということでもあります。ぜひ私たちと一緒に、ものを動かす楽しさを味わってほしいですね。

採用情報