自動運転やコネクティッドカーの進化に伴い、車両に搭載される情報システムが飛躍的に増加・高度化し、Software-Defined Vehicle(SDV)の時代へのシフトが進んでいます。SDVではソフトウェア開発が開発工数の約半分を占めるため、大規模なソフトウェア開発を高品質かつ低コストで実現する技術が必要です。
そこで注目されるのが、設計から製造に至る各工程で蓄積された文書や経験知などの暗黙知を、機械学習・自然言語処理・知識処理技術でナレッジベース化する技術です。大規模言語モデル(LLM)は、多くのタスクで人と同等以上の精度を実現します。さらにRAGやファインチューニングと組み合わせることで、社内独自データを参照した最適なアウトプット生成が可能になり、開発者負荷の大幅軽減が期待されます。
例えばソフトウェア開発では、要求仕様書の曖昧さや矛盾を仕様段階で徹底的に検証することが重要ですが、従来は数十件の関連文書を人手で検証していたため、見落としや評価結果のばらつきが課題でした。LLMによる自動化により、これらの課題解消と検証プロセスの効率化が実現できます。
私たちは最先端のAI技術をいち早く取り入れ、要求仕様書に限らず設計・実装・テスト・製造など製品開発全工程にわたる業務革新を目指した研究に取り組んでいます。
要求仕様書などの文書は、文章だけでなく図表や画像などを含むマルチモーダル・データです。私たちは、LLMをマルチモーダル対応に拡張し、さらにマルチエージェントを活用して複雑なタスクにも対応できるようにする研究に取り組んで行きます。
LLMはあたかも意味を理解して処理しているかのように振る舞いますが、実際には真に意味を理解しているわけではありません。そのため、記号論理的な意味処理や常識的知識をLLMと融合し、実世界での意味理解を実現する技術の研究も、今後の重要なテーマとして注目しています。
本領域で活かされる専門性
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